一触にして良媒 HELLO GOODBYE

名古屋工業大学 先進セラミックス研究センター 環境材料研究グループのブログ

第114回触媒討論会

こんにちは。修士1年の中村です。

 

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先日、広島大学にて第114回触媒討論会が開かれ、当研究室から博士課程2年の土井さんと、
修士課程2年の金子さん、修士課程1年の富田君と私が発表を行いました。
今回はそのレポートです。

 

今学会では工業触媒や環境触媒、さらにはコンピュータを利用した触媒の理論研究など、
触媒に関するほぼ全ての分野の発表がなされていました。
また、どの発表にも100人近い席のある会場が用意されたのですが、
時には立ち見もできなくなるほどの大勢の方々が聞きに来ていました。

 

その中でも1つ、私の印象に残った発表を取り上げてみますと、東京大学による
「In situ TEMを用いたディーゼルパティキュレート燃焼における
アルカリおよび銀触媒の挙動解析」という発表です。

 

ディーゼルパティキュレート燃焼触媒というのはディーゼル自動車に取り付けられる
フィルターのことでして、エンジンから排出される”すす”を取り除く目的があるのですが、
よく用いられる銀触媒は”すす”との接触性が悪く、高い性能を発揮できずにいました。
そこで今回の研究では接触性がそれほど悪くない炭酸セシウム触媒に着目し、
さらには触媒反応が起こっているその場(in situ)での電子顕微鏡観察を行い、
触媒の働き方を見るという内容です。

 

触媒はそれ自身が触れているものしか影響を及ぼすことができないのですが、今回の研究により、
銀触媒は燃焼中に液状になって移動することで影響を与えるものの
徐々に大きな粒になってしまい、移動できずに性能が低下してしまうことが確認できました。
また炭酸セシウム触媒は、燃焼中でも小さな粒のままであり、
常に高い性能を維持できることが確認できました。

一般に触媒反応を電子顕微鏡で撮影することは非常に難しいことなのですが、
技術的な課題をクリアし、さらには結果の映像に縛られない数パターンの推察も行っており、
とても面白味のある研究だと感じました。

 

 

2週間以内を目処に更新します。さようなら。