公聴会 セリアジルコニア系材料の合成と光学的特性の評価
こんにちは。学部4年の中村です。
当研究室から博士課程3年(社会人)の網本さんが発表を行いました。
今回はそのレポートです。
私自身、公聴会が何であるのか分からず、辞書を引いても難しいことが書いてあったのですが、
実際のところ、博士課程の卒業審査会でした。
この公聴会のプレゼンテーション、および質疑応答の内容によって、卒業の是非が決まるということです。
さて発表の中身なのですが、網本さんの研究テーマは“陶磁器の色”です。
従来、赤・橙・黄などの暖色系の陶器を作る際には、硫化カドミウムという人体に有害で、
なおかつ焼くことが難しい原料を使ってきました。
そこで網本さんは酸化セリウム(セリア)と酸化ジルコニウム(ジルコニア)を混ぜた材料を作りました。
この黄色の材料に、酸化イットリウム・酸化鉄・酸化テルビウムを様々な配分で加えて、
その発色がどうなるか、ということを研究されていました。
私の勝手なイメージでは、陶芸家は手当たり次第に粘土をこねる、といったものですが、
網本さんは作った材料の一つひとつにX線や紫外線などの光を当てることで発色の原因を探り、
さらなる優れた顔料の開発に努めてきました。
今回の発表では、実用の域に達する釉薬はできなかったが、
これまでにはできなかった暖色系の発色も一通りの実現が可能である、と結論付けられていました。
発表を聞いていて何より印象に残ったことは、陶磁器に対する網本さんの考え方でした。
曰く、陶磁器は日常生活で使うものであり、安全なものでなければならない、とのことです。
そういった意見を大切にするためにも、日々の食事の器に気を配り、
また私どもとしては、セリウムやジルコニウムの使用量削減を目指してゆかなければならない、と思いました。
(これらの元素は自動車触媒にも使用され、獲得競争となっているため高価になりつつある)
卒業研究に集中するため、しばらく更新を休みます。さようなら。