一触にして良媒 HELLO GOODBYE

名古屋工業大学 先進セラミックス研究センター 環境材料研究グループのブログ

講演会 The utilization of the isotopic exchange technique in redox heterogeneous catalysis

こんにちは。修士1年の中村です。
先日、先進セラミックス研究センター・旭ヶ丘地区にて
ポアティエ大学(フランス)Nicolas Bion博士による講演会
「The utilization of the isotopic exchange technique in redox heterogeneous catalysis」
が開かれました。今回はそのレポートです。

 

今回の講演内容は主に、触媒反応における表面活性種の研究についてです。
気相ー表面ー固相において、触媒反応は気相ー表面で起こっていまして、
その起こり具合(活性)は表面ー表面や表面ー固相によって大きく左右されます。
当研究では<同位体交換技術>を利用して触媒表面の仕組みを理解する、というものです。

 

同位体とは<通常とは中性子の数が異なる原子>のことです。
中性子の数が異なるとどうなるか? というと、例えば酸素の同位体(18)の場合、
通常の酸素(16)と比べて1.125倍だけ重たいので、
酸素同位体と通常の酸素を区別することができます。

 

一方、触媒では酸化セリウムというものが頻繁に用いられます。
なぜなら酸化セリウムには酸素貯蔵能(Oxygen Storage Capacity)という、
必要に応じて酸素を出し入れし、それによって触媒反応を向上させる働きがあるためです。
ですが<酸化セリウム内の酸素>の働きを調べようとしても、<その周囲にある酸素>
と区別することができず、詳しい仕組みは分からずじまいでした。

 

そこで酸素同位体を利用すれば、<酸化セリウム内の酸素>と<その周囲にある酸素>を
区別することができ、詳しい仕組みを解明することにつながります。

 

当研究ではこの<同位体交換技術>を利用して様々な触媒の比較を行い、
それぞれの性能を検討することで反応の仕組みを明らかにしました。

 

また、当講演ではNicolas Bion博士の所属するフランスのポアティエ大学や
その周辺についての説明もありました。
特にポアティエ市役所前駐車場が、60年代から徐々に狭くなって広場に変わってゆく写真は、
フランスの自動車事情を端的に表していました。
街中で人と共存できる、そんな自動車を目指してゆきたいですね。
Nicolas Bion博士、講演ありがとうございました。

 


一週間以内を目処に更新します。さようなら。