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名古屋工業大学 先進セラミックス研究センター 環境材料研究グループのブログ

平成26年度触媒学会西日本支部触媒技術セミナーおよび第5回触媒化学研究発表会

こんにちは。修士1年の中村です。

 

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先日、愛知県名古屋大学(東山キャンパス)にて
平成26年度触媒学会西日本支部触媒技術セミナーおよび第5回触媒科学研究発表会が開かれ、
当研究室から博士課程2年の土井さんと、修士課程1年の太田君と私が発表を行いました。
今回はそのレポートです。

 

触媒技術セミナーでは触媒に関する講演が3件行われたのですが、
その中でも1つ、私の印象に残った発表を取り上げてみますと、豊田中央研究所の長井博士による
「放射光を用いたXAFSによる排気浄化触媒に関する研究」という発表です。

 

XAFS(ザフス)とはX線吸収分光法のことでして、物質にX線を当てることで、
ある原子Aの電子状態や、近くに位置する別の原子Bとの距離を調べる方法です。
どんな物質も原子の並び方によって様々な特性が発揮されるわけですから、
この測定法を用いれば物質がもつ特性のしくみや、特性の良し悪しを理解することができます。

 

自動車排ガスを浄化するための触媒も、XAFSを利用して研究したいところなのですが、
そのためには実際の環境、つまり高温で排気ガスが流れている状況を再現する<箱>が必要です。
<箱>を再現するのは難しいですし、その<箱>の中で測定装置を動かすことは、
なにしろ高温で、機器に悪影響を及ぼすガスも流れていますので、ことさらに難しいです。

 

ですが今回の発表ではそういった難題をクリアし、数種の実験を行った結果、
実条件に限りなく近い状況でのデータを得ることができました。
触媒のために建物1つ作って専用の実験装置まで組み立てる、その追究の姿勢に感服しました。
これからの研究では広く社会に還元できるよう、特殊環境を活かした他の実験を進めるとともに、
今回の結果を踏まえた新しい触媒を作り、よりエコな車作りを目指していくそうです。

 

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また、触媒技術セミナーの後に第5回触媒科学研究発表会が行われました。
こちらは学生による2分間のショートプレゼン(英語)、そしてポスターを使っての発表です。
有機合成触媒や光触媒燃料電池用の触媒など、多様な研究が報告されました。

 

そして同発表会にて私は優秀ポスター賞を受賞しました。とても嬉しいです。
このような賞を頂くことができたのも、
羽田先生をはじめ多くの方々のご指導・ご助言のおかげです。
今回の受賞を成長の糧としまして、
より優れた発表報告ができるよう今後も研究に尽力してゆきます。
ありがとうございました。

 


1週間以内を目処に更新します。さようなら。